プレスリリース
北海道建設新聞 “ビジネスインタビュー 08 どうなる住宅・不動産ビジネス”の記事掲載 2008年2月14日
 昨年は改正建築基準法の影響で札幌地区のマンション市場は低調に推移したが、その中で唯一気を吐いたのが日本グランデ(本社・札幌)。その強さは商品づくりのうまさと、スピード感のある経営スタイルだ。首都圏にも攻め込む平野雅博社長に2008年のマンション市場動向を聞いた。
 −昨年の建築確認申請の厳格化の影響は。
 建築基準法改正はインパクトの強い出来事だった。当初は、比較的簡単に考えていたが、いざ改正されると大変なことに気づいた。申請書類は今までの3倍になり、時間も相当かかり、予想以上に大きな影響が出た。デベロッパーは下期に売り上げが集中するので、今後、各社の決算にも影響が出てくるだろう。
 −08年のマンション市場をどう見るか。
 改正建築基準法施行の混乱による、着工激減の影響が徐々に住宅業界だけでなく、周辺の業界にも広まるだろう。昨年末、札幌市内の新規発売物件の成約状況をみると、価格の上昇にエンドユーザーがついてきていないのが現状だ。
 一方、今年は好立地物件に対する消費者の待望は依然高く、都市部を中心とした大型物件や好立地物件・差別化された商品企画の物件が市場をけん引きするだろう。価格面では販売坪単価は上昇するが、グロス価格は間取りのコンパクト化などによってダウンするとみている。今後は価格上昇に対する消費者サイドの取得力の見極めがキーポイントになる。昨年の着工戸数の減少分は、時間の遅れを伴って回復し、今年は反動増が出てくるとみている。
 −どの程度の回復が見込めるのか。
 昨年前半のマンション市場は好不況のまだら模様だった。後半は分譲価格の上昇と供給エリアの偏りなどが原因でユーザーが様子見をしている状態。昨年からの未発売の繰り越しを含め、売り出しは今後も衰えない見通しから、年間4000戸の発売は超える可能性がある。ただ、好立地物件が減ったことや分譲価格の上昇が購買意欲を低下させているので、今後も短期完売にこだわらず、期分け分譲で販売のスタンスを長くとる傾向が続くだろう。また、中央区の新規供給も増える傾向なので、5月後半から成約も徐々に回復する見通しだ。
 −住宅・不動産ビジネスの課題は。
 この1年は新規マンションの供給価格が上昇している。昨年末をみても地下鉄徒歩圏内のエリアでは10−20%価格がアップしている。大きな要因の一つが土地価格の上昇と人件費を含めた建築コストの上昇。原油・資材料や鉄の価格など資源価格の上昇に伴い、マンション建設に必要な棒鋼やコンクリート、設備の価格も上がっている。現在の価格高騰では購入層は限られ、販売は長期化し苦戦するとみられているので、今後は用地の仕入れ、建築費のコストダウンが課題になってくる。
 −差別化戦略の秘訣は。
 商品特性を生かした物件を発売していきたい。「電気代の安さ」「最新のITを活用したセキュリティーシステム」「太陽光発電」「100年コンクリートやスケルトン・インフィルなどの長寿命化対策」などがテーマとして考えられる。当社が販売した「エスポアシティ札幌」は大型集合住宅のメリットを生かし、電力会社から高圧の事業用電力を一括購入することで、電気代を割安するサービスを提供している。購入者の評判が良かったので、今後も自社物件に採用していきたい。将来的には太陽光で自家発電できるマンションが開発され、入居後の電気代はすべて不要のマンションが登場するのも、そう遠くないと思う。
 

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