日建新聞“首都圏市場へ進出 日本グランデ クオリティの高さで勝負”の記事掲載

2007年8月20日

 

 道内のマンションデベロッパーである日本グランデ㈱(本社・札幌、平野雅博社長)が分譲マンション激戦区の首都圏へ進出する。東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県で、札幌で好評の自社ブランド「グランファーレ」シリーズを武器に3年後をめどに年間400戸の販売を目指す。平野社長に今回の首都圏進出について聞いた。平野社長は「様々な優れた特徴のある『グランファーレ』シリーズは首都圏の市場でも認知される」と意欲を示した。

―道内のマンションデベロッパーが激戦区である首都圏への進出は非常に珍しいケースだと思いますが。

平野 札幌の分譲マンション市場は年間4000戸。それに比べて首都圏は20倍の8万戸とケタ違いで、非常に魅力的な市場といえる。弊社は今年で創業5年目を迎えるが、創業当初から首都圏進出は視野に入れていた。私は東京出身で、前職でも首都圏を中心にマンションデベロッパーの仕事をしていたので、首都圏進出にはそれほど抵抗を感じていない。

―首都圏での展開は。

平野 8月に都内に事務所を開設し、最初は土地の仕入れ担当者を3~4名配置。札幌と首都圏では地域性や受け入れられる商品が異なるので、営業スタイルは市場の状況を踏まえながら、アウトソーシングなども視野に入れて検討していく。
 営業エリアは東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の1都3県を考えている。都内ではJR山手線内側は地価が非常に高く、大手デベロッパーの開発も進んでいるため新規参入は難しい。また、多くのデベロッパーが郊外型の分譲マンションを展開しているが、失敗しているケースが見受けられる。そこで、地価の比較的安価な人気スポットがターゲットの中心となるだろう。3年後をめどに年間400戸の販売を目標にしている。首都圏の物件は規模が大きく、目標達成はそれほど難しい数字ではない。

―具体的な戦略は。

平野 目標を達成するには、売れる商品、人気の出る商品をいかに作り上げるかに尽きる。それには、付加価値のある商品展開が重要となる。北海道から首都圏に進出するのだから、北海道の特色ともいえる外断熱工法や、充実した共用施設、住戸の広さなどに加え、弊社が培ってきたノウハウを反映させた商品を提供していきたい。
 首都圏でも自社ブランドの「グランファーレ」シリーズを展開する。「グランファーレ」シリーズはこれまで、おサイフケータイやICカードキーで施錠・開錠が可能な「FeliCa非接触電子錠システム」を全国に先駆けて導入したほか、天然温泉の施設や、入居者が自由に間取りを選べる「こだわり」を重視するなど他社との差別化を図っている。この「FeliCa」のシステムは北海道発祥の技術でもある。こうした優れた特徴のある「グランファーレ」シリーズは、札幌では完成前に完売するほどユーザーに高い評価を得ており、首都圏の市場でも認知されるだろう。

―外断熱工法に着目したのは。

平野 外断熱工法は本来、札幌で受け入れられるべき工法。しかし、そこにはコストという大きなハードルがある。一方、首都圏は価格よりも付加価値の高い商品が支持されるため、ヒートアイランド現象といった猛暑対策にも有効な外断熱工法は受け入れられやすいのではないか。外断熱工法の中でも湿式工法、特にドイツのSTO社の「シュトーサーモクラシック」は優れた性能に加え、豊富なカラーバリエーションが揃っており、注目している工法のひとつである。

―首都圏で成功する上でのポイントは。

平野 首都圏は大きな市場を抱えているが、契約率は以前の80~85%から70%台にまで落ち込み、完成在庫戸数が増加傾向にある。今後はさきごろ施行された改正建築基準法以前の旧価格物件と施行後の新価格物件、そして価格を引き下げざるを得ない完成在庫物件の三つ巴の争いになる。その中で物件のクオリティの高さが成功の鍵を握る。首都圏のユーザーはクオリティの高さを求めており、良いものは必ず認知される。さらに土地の確保も重要。この2つを兼ね備えれば十分に勝負はできる。

―今後の道内展開は。

平野 道内は札幌の一極集中状態だが、札幌は新しいものが受け入れられ難く、その点をどのようにクリアしていくかが課題となる。札幌市内は、バブル期のように年間1万3000戸台までの回復は極めて難しいものの、4000~5000戸はコンスタンスにある市場、特に円山地区や北24条エリアは今後注目されるエリアといえる。これらのパイの中で、地域に即した付加価値を持つ商品提供が重要となる。