■基本的な入浴法
●全身浴
肩まで風呂につかる一般的な入浴法です。
42℃程度の温泉に肩までつかると確かに気持ち良く、本来の入浴スタイルです。
肩まで熱い温泉につかる気持ち良さはストレス解消になるので、肩まで温泉につかり、「ウー、極楽!極楽!」などと声を発することが、本来の温泉の楽しみ方であることを忘れてはならないでしょう。
また、体に負荷をかける分、ダイエット効果もあります。
なお、「全身浴」をしたとき、体の表面にかかる水圧を合計すると500kgから1tにもなると言われています。
また、体にかかる負担は、80kgの人に乗られたと同じとも言われています。
このようなことから健康入浴法としては、「半身浴」をおすすめするのですが、「全身浴」水圧が大きい分、リンパ液や血液を上半身に戻そうという力も働くので、静脈の流れが良くなり、血液やリンパ液の循環も活発になっていくという健康でのプラス面もあります。
ただし、心臓に負担をかけるなどのリスクをともない、のぼせやすく長湯ができないので、薬理効果が得られにくくなり、「分割浴」などの工夫が必要です。
●半身浴と腰浴
「頭寒足熱」(ずかんそくねつ)という言葉があるように、上半身は涼しく、下半身は温かくという健康増進法があります。
風呂、特に温泉にこれを応用しつつ、心臓への負担を軽くしたのが「半身浴」です。
浴槽に段差がある場合、そこに腰掛けると、下半身だけが温泉につかる状態になります。
段差がなくとも、腰掛けるものを置いてもよいでしょう。
状況に応じ、ヘソから胸までの間をお湯のライン(みぞおちのラインくらいが適当)とすればよいです。
腰までの入浴法は、「腰浴」と言います。
下半身から温泉成分が体に浸透、上半身の発汗促進などという効果がありながら、心臓に負担をかけない理想的な入浴法です。
下半身だけの入浴では、体が温まらない気がしますが、血液循環が活発になることにより、上半身も十分温かくなり、発汗が促進されます。
もし、上半身が寒く感じるようであれば、その時だけ肩までつかったり、湯を染み込ませたタオルをかけたり、乾かしたタオルをかけたり、かけ湯をするなどの工夫をすればよいでしょう。
具体的には、下記をモデルとし、体調に合わせておこなってください。
【1】心臓より遠い部分(つま先)から順に「かけ湯」をおこなう。
【2】入浴前に頭から10杯くらい温泉をかぶる。(立ちくらみ防止)
【3】5~6分の半身浴。
(これは一般的な温泉のような42℃程度の場合。できれば、38℃以下で20分程度が理想)
【4】軽く肩までつかる。(入浴の気持ち良さの体感)
【5】5分程度の休憩を入れながら、【3】【4】の入浴を繰り返す。(分割浴)
【6】体についた温泉成分を水(お湯)で流さず、温泉につけてから絞ったタオルでかるく体を拭く。
(バスタオルを使わないほうが、温泉成分が残こる。
肌についた温泉の薬効は3時間は持続する)
【7】30~60分ゆっくり休む。
上記を、1日3回までを限度とし、複数回(結局2~3回程度ということになる)実施ください。
●寝浴
風呂の構造が許せば、浅い風呂に首から下を温泉につけ、寝た状態で温泉につかる「寝浴(寝湯)」は、全身浴の気持ち良さがありながら、心臓への負担が軽く、理想的な入浴法です。
ただし、気持ち良さゆえに寝てしまって、必要以上の長湯になることに注意しなければなりません。
●浮遊浴
浴槽の縁に頭をのせ、体を自然に無理なく浮かせるような感じで入浴するのが「浮遊浴」です。
息を吸うと体が浮き、息を吐くと体が沈みますが、首に力が入らないように、この浮き沈みに身を任せましょう。
とてもリラックスできます。
できれば、他の人に補助してもらって浮かせてもらうのが理想的ですが、通常はこのようなことをやってもらうことはできません。
そこで、濃度の高い「塩化物泉」などを利用すると、より「浮遊浴」がしやすくなります。
●部分浴
半身浴、寝浴以上に体への負担が少ないのが、体の一部のみを湯につける「部分浴」です。
循環器系に負担をかけず温熱等による効能を得ることができます。怪我や病気などで入浴できない場合にも有効です。
■症状別入浴法
●肩こり、四十肩・五十肩予防の入浴法
コリをほぐすには、40℃くらいのお湯につかるのが一番の解決方法です。
下記の手順で入浴すると効果的です。
【1】「半身浴」で体をあたためる。
【2】10分程度つかったら、両肩に交互にお湯をかけ(右手で左肩に、左手で右肩に)、ウォーミングアップする。
【3】浴槽に入ったまま、42℃くらいの熱めのシャワーを肩から首にあてる。水圧と水温のダブル効果。
【4】らにシャワーを首にあてながら、首を左右交互にゆっくり回す。(強く早くは禁物)
【5】最後にシャワーを肩にあてながら、肩を回す運動をする。
5~10回程度を目安におこないましょう。
●腰痛のための入浴法
【1】38℃前後のぬるめのお湯につかり、その浴槽の中で、左右に腰をゆっくりひねる。
【2】膝で立って、同じように浴槽の中で腰をひねったり、まわしたりする。
【3】入浴後、体が温まっているうちに、軽い腹筋運動や背筋運動をおこなう。
【4】仰向けになり、その姿勢から両膝を両手で抱え込む。
5~10回を目安におこないましょう。
●膝の痛み、変形性膝関節症のための入浴法
膝の痛みは、基本的には温めることで緩和されます。
その中でも入浴が一番手軽で効率のよい方法です。温熱効果による体温の上昇、血液循環の向上で、痛み神経の緩和や関節、靭帯などに含まれるコラーゲンという結合組織を柔らかくするのです。
これに、関節を動かす運動を加えれば効果的となります。
【1】朝晩2回の入浴を心がけてください。
【2】朝湯での湯冷めを避けるため、38~39℃の「微温浴」にて、「半身浴」「分割浴」を心がける。また、朝は、膝までをつける「部分浴」でもよい。
【3】入浴時に膝が十分温まったら、浴槽内で無理がない程度に屈伸運動をおこなう。痛みで膝が完全に曲がらない人でも浮力があるので、曲がるところまでいってとめてもよい。その際、滑って転ばないように膝に手をあてたり、浴槽の端を持つなどする。
10~15回くらいを目安に、膝の具合にあわせておこないましょう
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